Jefferson Airplane / Jefferson Starship / Starship (ジェファーソン・エアプレイン/ジェファーソン・スターシップ/スターシップ)
60年代のJefferson Airplane、70年代のJefferson Starship、80年代のStarshipと名前と姿を変えながら、生き残った稀有なグループ。音は全く変わったけれど、オリジナルメンバーは結構残っているのも不思議だ。主要メンバーはGrace Slick(女性ボーカル)、Marty Balin(男性ボーカル)、Paul Kantner(ボーカル、ギター)、Jorma Kaukonen(ギター)等。
何と言ってもサイケデリックロックの雄としての60年代、産業ロックの雄?としての80年代が有名だが、私が一番好きだったのは地味目の70年代。Jefferson Starshipの「Miracles」にはハマりました。96年ロックの殿堂入り。
5095以外は、「The Essential Jefferson Airplane / Jefferson Starship / Starship」に収録。
05086 Somebody To Love (あなただけを) 67年5位
Jefferson Airplaneは65年サンフランシスコで結成されたが、その前身でGrace Slickが在籍していたThe Great Societyのオリジナルで、作曲は義弟のDarby Slickである。同じGraceのボーカルだが、もうちょっとのんびりしたフォーク調で、それはそれで心地よい。それと比べると、テンポは上がり、Grace のボーカルの迫力がはるかに増している。もはやロックのスタンダードの1曲だね。ローリングストーン誌のベスト500では274位。
https://www.youtube.com/watch?v=ceJQoKl2-F8
05087 White Rabbit (ホワイト・ラビット) 67年8位
5086と同じセカンドアルバム「シュールリアリスティック・ピロー」より。
ローリングストーン誌のベスト500では478位。Grace Slick作で(やはり元はThe Great Societyの曲)、「不思議の国のアリス」をモチーフにしたドラッグソング。5086のような明快さはなく、シングルヒットするような曲とは思えないのだが、ベスト10入り。
Jefferson Airplaneはモンタレー、ウッドストック、オルタモント、いずれにも出演し、フラワームーブメント等、時代の象徴として人気を維持していたのだが、Top40ヒットは生まれず、次はJefferson Starship(74年にGraceとPaulがバンド名を変えた)としてのヒットとなる。
05088 Miracles (ミラクルズ) 75年3位
マイ・フェイバリット! 彼ら唯一のNo.1アルバム「Red Octopus」からのシングル。何か捉えどころのない展開で、特にアルバムバージョンは7分近いのだけれど、間奏もなく揺らぎ続けるのが心地いい。75年に復帰したMarty Balin作で彼がボーカルを取っている。彼の場合、ソロだと甘くなりすぎだけれど、いいバランスじゃないかなあ。
https://www.youtube.com/watch?v=7m8izf-oXY4
05089 With Your Love (ウィズ・ユア・ラブ) 76年12位
5088の続編的。Marty Balin等の共作で彼のボーカル。同じっちゃ同じだけど、好きなものはしょうがない。アルバム「Spitfire」のドラゴンのジャケットも印象に残ってるな。
05090 Count On Me (カウント・オン・ミー) 78年8位
これもMarty節で続々編的ではあるのだけれど、作曲はJesse Barish。この人はMartinのソロ「ハート悲しく」を作った人だな。Martinのボーカルもいいけど、コーラスも素敵です。
05091 Runaway (ランナウェイ) 78年12位
5090と同じアルバム「Earth」より。同一路線でちょっと甘ったるいけれど、Bメロでアクセントがついてていいんじゃないかな。私が好きなJefferson Starshipはここまで。
05092 Jane (ジェーン) 79年14位
突然音は産業ロックへ? GraceとMartyが脱退、Micky Thomas(Elvin Bishop Groupeで「愛に狂って」を歌っていた)が加入したのだ。音はForeignerみたいだ。突然Bメロがレゲエ調なのが不思議。
05093 Find Your Way Back (ファインド・ユア・ウェイ・バック) 81年29位
5092の路線でまっしぐら。Micky Thomasのハイトーンボイスといい、既にStarshipだね。欠けていたのはキャッチーなメロディとGraceのボーカルだけか。
05094 Be My Lady (ビー・マイ・レディ) 82年28位
Grace Slickが復帰。Mickyとのツインボーカルに。産業ロックにまっしぐらかと思ったら、微妙に逆戻りしていて、かえって中途半端かな。
05095 Winds Of Change (奇蹟の風) 83年38位
5094と同じアルバムより、タイトルチューン。久々にGrace節が聴ける曲。中途半端さは5094と共通だが、ギターがかなり前面に。
05096 No Way Out (ノー・ウェイ・アウト) 84年23位
Jefferson Starship最後のヒット。もうStarshipの音。曲はStarship時代のプロデューサーPeter Wolfだし(J.Geils Bandのリードボーカルとは別人です)。繰り返しになるが、欠けているのはキャッチーなメロディだけ。メインストリームロックチャートNo.1。メインストリームロックって、何だ?
冒頭にオリジナルメンバーは結構残っている等と書いたけれど、Paul Kantnerがやめたので、残ったのはGrace Slickだけでした。で、Paulが訴えたんで、Jeffersonが使えなくなり、バンド名はStarshipになるのであった。
05097 We Built This City (シスコはロック・シティ) 85年1位
彼ら初のNo.1ヒット。産業ロックとか書いたけれど、嫌いなわけではない。♪僕らがロックンロールでこの街(サンフランシスコ)を作った♪というのがどんなニュアンスなのか、よくわからないけれど、とにかく勢いがあって好き。DJ(ラジオの)が実況で入ってくるのも面白い。メインストリームロックチャートNo.1、ゴールドディスク。
05098 Sara (セーラ) 86年1位
マイ・フェイバリット。まさか2曲続けてNo.1とは。この曲の次にNo.1になったHeartの「These Dreams」も大好きだが、曲調が似てる上に、Cメロ?の意外な展開が気に入っている。そう言えば、「These Dreams」は5097と作者(Bernie Taupin、Martin Page)が同じだ。ところで、リードボーカルのMickey Thomasの奥さんの名前はSaraである。アダルトコンテンポラリーチャートNo.1。
https://www.youtube.com/watch?v=32ScTb6_KHg
05099 Tomorrow Doesn’t Matter Tonight (トゥモロー・ダズント・マター・トゥナイト) 86年26位
5097〜5099は新生Starshipの初アルバム「Knee Deep in the Hoopla」より。このタイトルは5097の中でも歌われているんだけど、どういう意味なんだろう? で、この曲は全然キャッチーじゃない。
05100 Nothing’s Gonna Stop Us Now (愛はとまらない) 87年1位
まさかの3曲めのNo.1は映画「マネキン」の曲。デュエットとして、Grace SlickとMicky Thomasが選ばれたということらしい。Graceは48歳で女性シンガーのNo.1としては最年長(後にCherの52歳に破られる)。もはやAOR。私の苦手なヒットメーカーDiane Warrenの初のNo.1である。石川秀美の「素敵な勇気」はこの曲のパクリ。アダルトコンテンポラリーチャートNo.1、ゴールドディスク。
05101 It’s Not Over (‘Til It’s Over) (イッツ・ノット・オーヴァー) 87年9位
いつの間にか他人の曲をMicky Thomasが歌う産業ロックバンドになってしまった。この曲がTop10に入ってたんだ。
05102 It’s Not Enough (イッツ・ノット・イナフ) 89年12位
ついにGraceも辞めて、最後のTop40ヒット。Starshipの残骸は言い過ぎか。
Paul Kantnerは2016年に、Marty Balinは2018年に亡くなってしまいました。R.I.P.
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