Herman’s Hermits (ハーマンズ・ハーミッツ)
ブリティッシュ・インヴェイジョンと一括りにしてるけれど、都市によってカラーも異なる。個人的なイメージで言えば、リヴァプール出身はBeatles、Gerry & Pacemakers 、Searchersと甘酸っぱい感じ、ロンドン出身はRolling Stones、Yardbirds、Kinks とちょっとワイルド、そしてマンチェスター出身はFreddie & The Dreamers 、Hollies、今日紹介するHerman’s Hermitsと一番甘さが際立っているかな。
Peter Nooneがリードボーカルをとる 5人組。他の多くのグループとは異なり、自分たちでは曲を作らず、人の曲を採り上げたこともあって、ブリティッシュ・インヴェイジョンの中でも一番アイドルっぽい印象がある。シングルではJimmy PageやJohn Paul Jones等のセッション・ミュージシャンが演奏していた。65-66年の米国での人気はBeatlesをも上回ったらしいが、67年頃から急激に失速。ただし、英国ではその後もしばらく人気を保ち続けた。プロデュースは全てMickie Most。
2枚組の「The Very Best Of Hermans
Hermits」に全曲収録。
04323 I’m Into Something Good
(朝からゴキゲン) 64年13位
Gerry GoffinとCarole Kingの曲で、直前に元CookiesのEarl Jeanでヒットした曲のカヴァーである。英国ではこれが唯一のNo.1ヒット。この甘く軽快なポップ・ソングがその後の彼らの路線を規定したように思える。
04324 Can’t You Hear My Heartbeat
(ハートがドキドキ) 65年2位
4323と同じ路線。キャッチーなポップ・ソング。
04325 Mrs. Brown You’ve Got A
Lovely Daughter (ミセス・ブラウンのお嬢さん) 65年1位
ミュージック・ホール風で古〜い曲のようだが、63年に俳優のトム・コートネイ(「長距離ランナーの孤独」「ドクトル・ジバゴ」)がTVドラマで歌った曲。作曲も俳優のトレヴァー・ピーコック、アレンジはJohn Paul
Jonesのようだ。Peter Nooneの頼りない甘い歌声と途中から出てくるコーラスがステキ。今まで知らなかったのだが、英国ではシングル・カットさえされていない。12位初登場は当時としてはスゴい記録であり、本国以上に米国で人気が沸騰していたことがわかる。
チャートマニア的トリビアを書くと、この前のNo.1がWayne
Fontana & The Mindbenders の「Game Of Love」、その前がFreddie & The Dreamersの「I’m Telling
You Now」で、3曲続けてマンチェスター出身のグループである。ゴールドディスク。
04326 Silhouettes (シルエット) 65年5位
ドゥーワップ・グループRaysのヒット曲(Diamondsが競作)のカヴァー。Bob Crew が共作している。どんな曲でもHerman’s Hermits風にしちゃうのがスゴい。
04327 Wonderful World (ワンダフル・ワールド) 65年4位
すぐに前言を翻すけれど、このカヴァーはいただけないなあ。Sam Cookeの名曲がだいなしに?
04328 I’m Henry VIII, I Am (ヘンリー8世君) 65年1位
4325がNo.1になったんで、同じミュージック・ホール風の曲ということで選ばれたんだろう。ただし、こちらは実際1911年に書かれた曲で、英国ではHarry Championというコメディアンによって有名になったそうだ。昔から不思議なんだけど、ヘンリーじゃなくてエネリー?って歌っているのは何故? やはり英国ではシングル・カットされてない。ゴールドディスク。
04329 Just A Little Bit Better (恋はハートで) 65年7位
典型的な当時のブリティッシュ・ビートって感じの甘酸っぱいポップス。Cメロの展開が好きだな。ブリルビルディングのソングライターであるKenny Youngの作品。
04330 A Must To Avoid (あの娘に御用心) 66年8位
この曲と4332は彼ら自身の主演映画「Hold On!」より。作ったのはダンヒルのP.F. SloanとSteve Barriで、言われてみればGrass Roots というか、そんな感じがするね。
04331 Listen People (リッスン・ピープル) 66年3位
こちらは、Connie Francis 主演の映画「When
The Boys Meet The Girls」より。Herman’s Hermitsが本人役で共演しているんだが、これはConnie(Top40ヒットは64年が最後)のてこ入れだったんだろうな。曲を作ったのは、後の10cc 、Graham Gouldmanだ。確か、彼が作った「Bus Stop」もHerman’s Hermitsのためじゃなかったかな。単純な曲なんだけど、理屈じゃなくてこの手には弱い。アルペジオがステキ。
04332 Leaning On The Lamp Post (恋のランプ・ポスト) 66年9位
久々に、って1年ぶりだけど、4325、4328の路線。4325が良すぎたんで、それと比べるとなあ。叙情系の方が好きな私は食指が動かない。これも英国でのリリースなし。
04333 This Door Swings Both Ways (ドアーがスイング) 66年12位
これはあまり面白くないなあ。
04334 Dandy (ダンディ) 66年5位
KinksのRay Davies作。彼らしい洒落た曲だけど、Herman’s Hermitsに合ってたかどうか。5位だから成功だが。これも英国でのリリースなし。
04335 East West (イースト・ウエスト) 66年27位
再びGraham Gouldman。彼らしい叙情的なワルツ。
04336 There’s A Kind Of Hush (見つめあう恋) 67年4位
彼ら最後の大ヒット。Carpenters のカヴァーの方を先に聴いたせいで、どうも純粋に評価するのが難しいな。いい曲だとは思うけれど。ゴールドディスク。
04337 No Milk Today (ノー・ミルク・トゥデイ) 67年35位
3たび、Graham Gouldman。深みはないのだろうけれど、彼の曲は好きだなあ。歌い出しの♩No Milk Today♩がいい。って、それだけだが。米国では、4336のB面。
04338 Don’t Go Out Into The
Rain (You’re Going To Melt) (雨にさようなら) 67年18位
これもKenny Youngだけど、あんましピンと来ない。
04339 Museum (恋のミュージアム) 67年39位
Donovanが書いた曲。メロディが明らかにDonovanだよ。サイケ入っているけど、今聴くと迷走としか見えないなあ。
04340 I Can’t Take Or Leave Your
Loving (恋は晴れのちくもり) 68年22位
Tony MacAulayとJohn Macleod作。彼らはいい曲沢山書いているけど(Foundations の「Baby Now That I've Found You」とか)、これも悪くない。米国では最後のTop40ヒットなんだが、この後Nooneが脱退する71年まで、むしろ英国では盛り上がっているんだよね。何故だろう。この後の曲もちゃんと聴いてみることにしよう。
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