Butler, Jerry (ジェリー・バトラー)
Curtis Mayfieldと共にImpressionsを結成、すぐにソロになり60年代にヒット曲を連発したのがJerry Butler。Curtisの雰囲気で聴かせるファルセットに対して、朗々たるバリトンを聴かせてくれるバラディアー。39年ミシシッピー州に生まれ、シカゴに移住。Curtisとは教会の聖歌隊で一緒に歌っていた仲間である。ちなみにOtis Reddingの不滅の名曲「I’ve Been Loving You Too Long」はOtisとの共作。
Vee-Jay時代のヒット曲(2459〜2465)は「The Best Of The Vee-Jay Years」に、Mercury時代のヒット曲(2466〜2473)は「The Very Best Of Jerry Butler」に収録されている。
02459 He Will Break Your Heart (ヒー・ウィル・ブレイク・ユア・ハート/恋には御用心) 60年7位 これはTony Orland & Dawnの「恋のシーソーゲーム(He Don’t Love You)」ではないか。タイトルは違うけど、オリジナルはこれ。Sam Cookeを思い起こさせるほんわかした名曲だと思う。Curtisとの共作(バックコーラスも)。R&Bチャート7週No.1。
Jerry Butlerがリードをとったソウルコーラスの嚆矢ともいえる名曲「For Your Precious Love」はImpressionsの項で。
https://www.youtube.com/watch?v=xNrmmR9dfdY
02460 Find Another Girl (ファインド・アナザー・ガール) 61年27位 この曲も温かい感じだなあ。ImpressionsっぽいメロディなのはCurtisとの共作だから当然か。彼のニックネームはIce Manと言って、声が氷のようにスムースだからだそうだが、この英語の語感は全然わからない。
02461 I’m A Telling You (アイム・ア・テリング・ユー) 61年25位 何故Jerry ButlerがImpressionsを脱退したのかはわからないが、2461までの3曲はCurtis Mayfieldとの共作である。つまり、喧嘩別れした訳ではなさそう。これもImpressionsっぽい。
02462 Moon River (ムーン・リヴァー) 61年11位 カヴァーの数はおそらくギネス級の「Moon River」だが、Top40入りしたのはオリジナルのHenry Mancini以外ではJerry Butlerだけ(英国ではDanny WilliamsがNo.1に)。一歩間違えるとただのポピュラー・ミュージックだが、ソウルフルな声でOK。おなじみのメロディの前に、不思議なイントロがついている。
02463 Make It Easy On Yourself (メイク・イット・イージー・オン・ユアセルフ) 62年20位 Walker Brothersで有名な曲(英国でNo.1)だが、彼の方が先。Burt Bacharach & Hal David作。後にDionne Warwickもカヴァーしてるけど、ポップ路線は彼女と共通してるね(同じBacharachの「Message To Martha」もDionneが「Message To Michael」としてカヴァー)。
02464 Need To Belong (ニード・トゥ・ビロング) 63年31位 再びCurtis節。前後の曲がメロディで際立っているだけに、ちょっとキャッチーさに欠けるかな。
02465 Let It Be Me (レット・イット・ビー・ミー) 64年5位 Betty Everettとのデュエット。彼女とはミシシッピー州生まれ、シカゴ育ち、ゴスペル出身と共通点が多い。「Let It Be Me」は元々50年代のフランスの曲で、Everly Brothersのヴァージョンが有名。スタンダード! Joel WhitburnではR&BチャートNo.1となっているが、64年はR&Bチャートはないはずでは? クレジットはBetty Everett & Jerry Butler。
02466 Mr. Dream Merchant (ミスター・ドリーム・マーチャント) 67年38位 Vee-Jay時代もいいけど、Mercury時代もまたいいんだよね。イントロがGloria Gaynorの「恋のサバイバル」みたいに始まる。Bobby Hebbの「Sunny」とかJay & The Techniques、Keith、Spanky & Our Gang等を手がけたJerry Rossのプロデュース。Gamble & Huffの師匠格にあたる人だから、既にそういう雰囲気がある。後にNew BirthがカヴァーしてR&BチャートNo.1に。
02467 Never Give You Up (ネヴァー・ギブ・ユー・アップ) 68年20位 マイ・フェイヴァリット。Blow Monkeysみたい、って順番が完全に逆か。Gamble & Huff初期の傑作。お洒落でソウルフル。
02468 Hey, Western Union Man (ヘイ・ウエスタン・ユニオン・マン) 68年16位 Gamble & Huffがプロデューサーを務めたアルバム「The Ice Man Cometh」からは4曲のTop40ヒット(2467〜2470)が生まれている。ウエスタン・ユニオンというのはアメリカの有名な電報会社だから、「Please Mr. Postman」と同じような歌詞なのかな。ご機嫌なダンサー。R&BチャートNo.1。
02469 Are You Happy (アー・ユー・ハッピー) 69年39位 Gamble & Huffにしては、あまりキャッチーではないかな。
02470 Only The Strong Survive (ストロング・サーバイブ) 69年4位 Mercury時代の代表曲。サビのところでテンポが変わるのがアクセントになってる。ゴールドディスク、R&BチャートNo.1。
02471 Moody Woman (ムーディー・ウーマン) 69年24位 Gamble & Huffと組んだ2枚目「Ice On Ice」より。このアルバムをサンボマスターの山口隆が絶賛してました。
02472 What’s The Use Of Breaking Up (ホワッツ・ザ・ユース・オブ・ブレーキング・アップ) 69年20位 これも「Ice On Ice」より。この辺は悪くはないけど、可もなく不可もなくって感じ。
02473 Ain’t Understanding Mellow (エイント・アンダースタンディング・メロー) 72年21位 最後のTop40ヒットはBrenda Lee Eagerとのデュエット曲。サザンソウルっぽさと都会っぽさが共存してるように感じる。都会っぽさはアレンジャーがDonny Hathawayだから? ソウルフルな名曲です。クレジットはJerry Butler Featuring Brenda Lee Eager。ゴールドディスク。
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