Simon & Garfunkel (サイモンとガーファンクル)
60年代のフォークロック・デュオの最高峰。Paul SimonとArt Garfunkelは二人とも42年ニューヨークのクイーンズ生まれで、小学校で出会った。「不思議の国のアリス」のお芝居でPaulはうさぎ、Artは猫を演ったそうだ。57年にはTom & Gerryの名前で(猫とネズミの有名な漫画のキャラですね)、Everly Brothersスタイルの「Hey Schoolgirl」をヒットさせている。64年にSimon & Garfunkelとして再結成。その後のことは曲目紹介のところで。90年ロックの殿堂入り。
02408 The Sounds Of Silence (サウンド・オブ・サイレンス) 65年1位
プロデューサーのTom Wilsonがアコースティック・ギターのみだったオリジナルに、本人たちには無断でエレキ・ギター、ベース、ドラムスを加えて発売したら、大ヒットしてしまったというのは有名な話。デビュー・アルバムは全く売れず、S&Gは解散状態だったというから、プロデューサーの独断がなかったら、その後どうなっていたことか。別テイクはBob Dylanの「Like A Rolling Stone」をレコーディングした連中にもう1曲頼むと言って演ってもらったものだ。
私が改めて説明するまでもない名曲だが、コミュニケーションの不在を象徴したPaulの詩も有名。映画「卒業」が公開された68年にオリコンでも1位になっている。ちなみに次に1位になったのが、ピンキーとキラーズの「恋の季節」。ついでにどーでもいい話を書くと、由紀さおりの「夜明けのスキャット」はこれが元ネタだよねえ。ローリングストーン誌のベスト500では156位。ゴールドディスク。
02409 Homeward Bound (早く家へ帰りたい) 66年5位
解散状態でロンドンにいたPaulが書いた曲らしい。てっきりロンドンからニューヨークに帰りたいという歌かと思ったら、イングランドをソロ・ツアー中にロンドンに帰りたいという歌だそうです。邦題は当初「早くうちへ帰りたい」。「早く家に帰りたい」の表記もあり。
02410 I Am A Rock (アイ・アム・ア・ロック) 66年3位
一番フォークロックっぽい曲。Byrdsっぽいというか。Paulがロンドンでソロとして録音、その後S&Gで再録音された。
02411 The Dangling Conversation (夢の中の世界) 66年25位
恋人のコミュニケーションのすれ違いを歌った歌。地味によい。
02412 A Hazy Shade Of Winter (冬の散歩道) 66年13位
ギターのリフが印象的な一番ロックっぽい曲。私の世代にはBanglesのヴァージョンの印象が強いなあ。
02413 At The Zoo (動物園にて) 67年16位
多分ニューヨークのセントラルパークの動物園のことを歌っている。地味だなあ。「ポール・サイモンのどうぶつえん」という絵本があるのを発見。当初の邦題は「夢の動物園」。
02414 Fakin’ It (フェイキン・イット) 67年23位
2412〜2414はアルバム「Bookends」に収録。Donovan風ギター。この頃の音はAssociationとかにも通じますね。そう言えば、S&Gは私の原点モンタレー・ポップ・フェスティバルにも出ていて、「59番街橋の歌(フィーリン・グルーヴィー)」(オリジナルはHarpers Bizarre)を歌ってる。
02415 Scarborough Fair (/Canticle) (スカボロー・フェア) 68年11位
英国の古い民謡で、19世紀のヴァージョンを基にPaulが作った曲。個人的にはサイモンとガーファンクルと言うと、この曲と「コンドルは飛んで行く」を真っ先に思い浮かべる。洋楽という意識もないままに、子供の頃に聴いていた印象なんだと思う。この曲のコーラスはホント好きです。「Parsley, sage, rosemary and thyme」がハーブの名前だと知ったのは(パセリは違うか?)、ずいぶん後のこと。反戦歌でもある。
02416 Mrs. Robinson (ミセス・ロビンソン) 68年1位
ダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス主演、マイク・ニコルズ監督の映画「卒業」の曲。映画中唯一の新曲なのは、ニコルズが他の曲にダメ出しして、既存曲を使ったためと信じていたが、ポールの方が忙しくて1曲しか作れないと断ったみたい。ミセス・ロビンソンを演じたのは、アン・バンクロフト。この曲はギターに尽きると思う。グラミー賞でレコード・オブ・ジ・イヤー等を受賞。なお、サントラとはヴァージョンが違います。ゴールドディスク。
02417 The Boxer (ボクサー) 69年7位
「♩ライラライ、ライラライ、ラライラライ♩」のコーラスとボクサーのパンチを思わせる音が印象的。ストリングスも含め、アレンジもいいなあ。ふとアリスの「チャンピオン」を思い出すと、嫌な気分になるけど。ローリングストーン誌では105位。
02418 Bridge Over Troubled Water (明日に架ける橋) 70年1位
Paulの作ったゴスペルだと思ってます。あまりに荘厳でドラマティックすぎる。いやもちろん名曲中の名曲ですが。グラミー賞でレコード・オブ・ジ・イヤー、ソング・オブ・ジ・イヤー等を獲り、アルバムも彼ら最大のヒット作となったものの、2人の音楽への意見の相違が激化し、解散に。ローリングストーン誌では47位。英国でもNo.1。アダルトコンテンポラリー・チャートでもポップ・チャートと同様6週No.1、ゴールドディスク。
02419 Cecilia (いとしのセシリア) 70年4位
2417〜2420は最後のスタジオ・アルバム「Bridge Over Troubled Water」より。中南米っぽいリズムはその後のPaulの嗜好を思わせる。ゴールドディスク。
02420 El Condor Pasa (コンドルは飛んで行く) 70年18位
18世紀のアンデスのフォルクローレが原曲。「♩I'd rather be a sparrow than a snail♩」とか「♩I'd rather be a hammer than a nail ♩」といった歌詞は、子供の頃に覚えた。物悲しい曲だなあ。山手線の駅とかでたまに見かけるペルーの人たち(多分)が演れば、楽しくなりそうだけど。
02421 My Little Town (マイ・リトル・タウン) 75年9位
ホントのS&Gリアルタイム体験はこの曲。何度か再結成した彼らだが、この時の唯一の新曲。それぞれのソロ・アルバム(「Still Crazy After All These Years」「Breakaway」)に収録された。なお、78年の「Wonderful World」はArt Garfunkelの項で。
02422 Wake Up Little Susie (リトル・スージー) 82年27位
81年9月19日ニューヨークのセントラルパークで行われたチャリティコンサートでの録音。何と53万人の観客を動員したという。もちろんEverly Brothersのカヴァー。いわば彼らの原点だね。アダルトコンテンポラリー・チャートNo.1。
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- Simon & Garfunkel (サイモンとガーファンクル)(2011.01.31)
コメント
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こんばんは。
世代にまったく似合わないのですが、S&Gはとても好きですし、結構、詳しいです!
子供の時にエレクトーンを習っていたんですが、そこでの練習曲が、S&G、カーペンターズ、ビートルズ・・・と、今思えば素晴らし過ぎるラインナップでしたので 笑
あと母がこの辺のスタンダードな名ユニットのファンで、家ではいつもそんな洋楽が流れていました。
”A Hazy Shade Of Winter”が一番好きでしたが、楽器で演くのには、”Scarborough Fair”が一番、しっくりきましたね。
投稿: RAY | 2011年2月 2日 (水) 00時21分
せっかく大物を取り上げたのに、誰からもコメントないなあと思っていたら、まさかのRAYさんから。
子供の頃からS&GやCarpentersが流れているなんて、素敵ですね。
私が子供の頃は何故かタンゴと歌舞伎のレコードがかかっていました。
タンゴは正直怖かったです。
投稿: SAKURAM | 2011年2月 4日 (金) 00時13分
>せっかく大物を取り上げたのに、誰からもコメントないなあと思っていたら、
私もそう思ってました(笑)。
S & Gは別に嫌いではないんですが、すっかりスタンダードというか、何かというとしょっちゅう特集されたりBGMに使われたりで、耳にする機会が多かった気がします。
もちろんそれで飽きたというわけでもないんですけど、なんだか今さらコメントするのも……という感じがして……。
『The Sounds Of Silence』『Scarborough Fair』『Mrs. Robinson』『The Boxer』『Bridge Over Troubled Water』『Cecilia』『El Condor Pasa』、みんないい曲だと思いますよ。
ところで、『Mrs. Robinson』にJoe DiMaggioの名前が出てきますよね?
Leo Sayerの『Long Tall Glasses』にはFred Astaireが出てくるし、歌詞に有名人が登場する曲って他に何があるかなぁと考えてみたら、Murray Headの『One Night In Bangkok』のYul Brynnerとか、Kraftwerkの『Trans Europe Express』のIggy PopとDavid Bowieとかを思い出しました。
投稿: かてぶし | 2011年2月 5日 (土) 00時18分
かてぶしさん、こんばんは。
有名人がタイトルの曲はどうですか?
とは言っても、Weezerの「Buddy Holly」、ヒット曲ではないけど、Cakeの「Frank Sinatra」「Meanwhile, Rick James...」くらいしか思いつかないけど。
投稿: SAKURAM | 2011年2月 6日 (日) 00時20分
歌詞に有名人が登場する曲、結構ありますね。
そもそも曲のテーマが有名人、というパターンでChicagoの『Harry Truman』(これは「有名人がタイトルの曲」ですね)、Johnny Wakelin & The Kinshasa Bandの『Black Superman – "Muhammad Ali"』、Bob Dylanの『Hurricane』、それにRay Stevensの『I Need Your Help Barry Manilow』(この曲、なんとか入手したいんだけど見つからない……)など。
Elton Johnの『Candle In The Wind』にはNorma Jeanが出てくるし、Artistst United Against Apartheidの『Sun City』にはRonald Reaganが出てきますね。
投稿: かてぶし | 2011年2月 6日 (日) 14時29分
自分で振っておきながら、全然思いつきません。
かろうじて、Kim Carnesの「Bette Davis Eyes」、Eaglesの「James Dean」、Van MorrisonやDexys Midnight Runnersの「Jackie Wilson Said」を思いつきました。
投稿: SAKURAM | 2011年2月 6日 (日) 22時00分